訪問介護におけるホームヘルパーの役割

訪問介護のホームヘルパー業務には一般的なサービス業とは少し異なる特徴があります。
それは、「何もかもやり過ぎない」ことです。

訪問介護のホームヘルパーは施設介護に比べて「一人の利用者に集中しやすい」という状況があります。
そのため、訪問介護のホームヘルパーは、利用者の行動や思い、習慣などを深く理解しやすく、一定期間続けると利用者が口を開く前に「これですね、あれですね」と先回りして動けるようになります。
サービスとしては早い対応で良さそうにみえるが、このようなことを続けていると、利用者の「自分で何かを伝える能力や意思」を奪ってしまうことがあります。

先に分かることも敢えてせずに、利用者自身に最後まで伝えてもらってから初めて動くようにします。
ホームヘルパーがしたほうが早いことも、利用者の「動かすことができるほうの手足」でやってもらうのです。
このように「何もかもやり過ぎず、利用者のために必要なことのみを手伝う」ことはとても大切です。

ただ、「利用者に必要なこと」といっても、同じ人でも日によって違うし、場合によっては朝と夜で全く違います。
朝全く動けない人が、夜になると別人のように動けるケースは珍しくないです。
「朝は全面的に手伝うが、夜はほとんど手伝わない」という介護も多いです。
利用者が落ち込んでいる時は、たとえ動くことができても、心理的な配慮からホームヘルパーがやってしまったほうがよい日もあります。

「どこまで手伝い、何を敢えて手伝わないのか?」という微妙な塩梅ができるようになることがホームヘルパーの真の実力であり、楽しみでもあります。